バルタン星人の考察


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バルタン星人の考察

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このところヤフオクへ頻繁に出る初見のバルタン星人の写真に驚かされてばかりですが、せっかくなのでちょっと考察してみました。
まず、バルタン星人の産まれた経緯です。
予算を浮かすために飯島監督のアイディアで「ウルトラQ」のセミ人間を改造するデザインとなったため、成田さんは最初から乗り気でありませんでした。
高山さんは、自分が作ったセミ人間を佐々木さんが改造する、という説明を当時受けています。
飯島さんはザリガニをイメージしてハサミを成田さんへ伝えました。
形にこだわると言うより、セミ人間の印象を変えるつもりだったのでしょう。
飯島さんとしては形よりもシナリオ、彼らの立ち位置に思いを込めています。
民族紛争の地、バルカン半島へ出兵した兵士の無念の思いを込めた「バルカンの星の下に」からの命名だそうです<和訳>。

バルタン星人は人気が出て「ウルトラマン」の永遠のライバルとなったのに、成田さんとしては良いデザインでなかった。
個人的としては放映前、「少年マガジン」の表紙を飾ったバルタンはネロンガと並んで衝撃的な印象で好きでした。ウルトラマンとこの3つは本当に魅力的でした。
高山さんはバルタン星人は作っていませんが、最初にセミ人間のフォルムありきです。
晩年の高山さんが人形を作っていた時、バルタン星人も作って欲しいとリクエストして、本人もその気になってくれていました。
成田さんはポピーのリアルホビーなどのパッケージ用にバルタン星人を描きましたけど仕事と割り切ったようです。
「ウルトラセブン」の頃、忸怩たる思いのバルタン星人を新たにメカ・バルタンとして成田さんは描いています。
のちに頭文字を取ってメバという宇宙人でバルタンのデザインの無念を晴らしています。
「突撃!ヒューマン」にはバルタンに似たザルゾンと言う宇宙人があって、作品「三位一体」で、バルタン、ザルゾン、メバの組み合わせを描いています。

昨今の取材で、バルタンはデザインも改造のベースもなく、1から自分で作ったと言うスタッフの証言があります。
その取材者から、こういう話なんだけどどう思いますか?と電話をもらって、疑問符があるなら疑問符としての記事にしてはどうか。昔あったモスゴジ・バラゴン2体説のように覆される真説なら、ライターとしての評判は後で悪くなるかもと提案しました。
本をもらってないので中味は分かりません。伝聞でニュアンスがつかめたようなものです。
佐々木さんは昔の事で、それも数日で終わらせないといけない仕事をよく覚えてない、のだとか。
ただ、成田さんも高山さんも佐々木さんへ頼んだと言っていました。
成田さんが特撮の美術監督ですから、成田さんがそうだと言えば、そういう事だと思うだけです。まだ番組の発表のなされていない秘密裏の作業ですから身近な人へ頼むのが筋でしょう。
そのようなわけで、この考察はセミ人間ありき、で進めます。

セミ人間は血の通わない昆虫のイメージです。高山さんの原型では首のところが一直線でここまでが原型、ラテックスの型抜き、胸にかかるハーネスの部分は後付のようです。
目は倉方さんが外して回転ギミックを入れました。別の物が付いています。胸にかかる部分も変えられています。
成田さんが美センで撮ったスナップはその違いが明確です。画像は高山さんが撮ったもの。成田さんの写真もありますが、すぐ出て来ません。ソノラマの本に載っているので参照して下さい。
バルタン星人は、セミ人間に角を付けます。角はポリです。
口、頬などはウレタンや布の直付けでラテックスを塗って成形しています。
同じ物である証拠に、セミ人間の目のつけ根にあるポッチがバルタンでもそのまま活かされているのが特徴です。展開図をフォトショップで作ったので、セミ人間とバルタンの関係を確認して下さい。
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ところで、バルタン星人Jrまで初代の角がそのまま使われている、と見ています。
もしかするとセミ人間のマスクが芯に入ったままかもしれません。
表情が大きく変わるのは67年以降です。角だけ取り替えて、顔は新造したのでしょうか? でも顔があるんだからどんどん直付けで装飾していった方が早いしお金がかかりません。
68年頃まで体はそのままです。ハサミは大きいのと一度ウルトラマンに壊されているので、発泡材で作り直しています。
70年の「ウルトラファイト」では体は新規でした。ただ、背中や腰巻きの後ろなどモールドを再現していますから、古いスーツを参考にした事は間違いないでしょう。
もちろん「ウルトラファイト」用に作ったのではなくて、アトラクションで使うために用意したと見るべきです。
71年の「帰ってきたウルトラマン」のバルタン星人Jr。
角のVの字の角度やアールは、全体のセンスを見たらわざわざ初代を再現したものでないのは明らかです。そのセンスがあればあの全体像にはなりません。
初代の角を正面を削って発光ギミックを仕込んだものでしょう。初代バルタンのなれの果てがそのまま芯にされている可能性が高いです。
「ウルトラマンタロウ」のメフィラス星人が、初代メフィラスを切り貼りしてい作っている事がまかり通る世界です。
バルタン星人Jrは72年の「レッドマン」でも使っています。
そういえば、特撮大会でだったか、バルタン星人Jrの頭、ありましたよね? 
ファイト以降のバルタンはまったく興味ないので欲しいとも思わなかったんです。いま思うとあの角だけよくよく確認しておけば良かった。

初代から半年後、二代目バルタンの時、成田さんは、佐々木さんが勝手に新規で作ったのを撮影当日に持ち込んでビックリしたと言ってました。
ただ、66年夏休みのアトラクションの状況を見るとさらに2ヶ月経っていよいよ撮影で使える状態でない事は確かです。
二代目の流麗な造型は素晴らしいと思います。こっちの事でないだろうか? ゼロからデザインなしに作ったというのは? 佐々木さんからの発注だったと考えれば納得いくんです。

画像の半分以上はネット上の拾い画像です。悪しからずご了承下さい。





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・成田亨のバルタン星人のデザイン。初代は改造だったため、むしろ二代目がこれに忠実に作られている。放映が始まって人気が出て、成田さんは割り切って造型物に似せた絵を描くようになる。





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・バルタンの元になったセミ人間。アブラゼミの意匠。造型は高山良策。この後、倉方茂雄の機械仕掛けで目の形などが変わる。








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・セミ人間がバルタンの中に入っている事の証明。目と目の脇のポッチの位置を合わせて重ねてみれば、口や頬の形状も続いて一致する事が分かる。









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・左、毎日放送の番宣。66年夏休みのバルタン星人。角の中心にヒビが入って体もくたくたになっている。それ以降、口の形状が大きく変わる。一見大きく違うように見える「ウルトラファイト」のバルタンだが、角の角度、形状、目の位置はほぼ同じだと改めて確認するといろいろ価値観が変わってきます。






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・「ウルトラファイト」のバルタンとよく似ている「帰ってきたウルトラマン」のバルタン星人Jr。角の正面を落として電飾を仕組んだように見えます。Vの字の角度、アールが初代そっくり。ゼロからスタートでそこまでこだわれるのであれば全体がもっと良くなっているハズですが。右下のは「レッドマン」登場時。




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・「ウルトラマン」2クール目に再登場した二代目バルタン星人。デザイン画に近い。右下は「禁じられた言葉」に一瞬登場した通称三代目バルタン星人。この角がもし外れたら、ツクツクホウシ型のセミ人間が出て来るんじゃないかと思うのです。





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・初代バルタン星人の全身。







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・参考画像。成田筆、左から、メカ・バルタンの未使用デザイン、その下ザルゾン、右上「三位一体の攻撃」、右下「MEO星の戦士・メバ」。