ウルトラマンBタイプ


HOME > ウルトラマンBタイプ

ウルトラマンBタイプ



「ウルトラマン」が始まる前に見た「少年マガジン」の表紙をカラーで飾ったウルトラマンの姿は、自分の人生を変えるほどに異彩を放っていました。
Aタイプは1クール13本分でしたが、5月に姿を見せて放送が始まるまでの2ヶ月はAタイプのウルトラマンがぼくのまぶたへ焼き付いたのです(トータルして5ヶ月間)。
そこへ登場したのが2クール目(14~29話)を飾ったBタイプです。
ラテックスの崩れた顔に見慣れていたので、樹脂でつるつるの顔が登場した時は別人のようだと感じ、これじゃない!感がつきまといました。
商品がわっと出た66年の年末商戦の頃、梶田達二がBタイプのウルトラマンをきちんと描き分けていて、ぼくもだんだん目に馴染んだのでした。
放送終盤。
Cタイプは3クールの実に10本と、意外と短い。表にすると一目瞭然です。
Aタイプ13本
Bタイプ16本
Cタイプ10本

放送前の2ヶ月を入れたAタイプの印象が大きいので、やはりぼくにとっては時系列に、A、B、Cと影響を受け、好いたわけです。
ふつうに言って、Cタイプが一般化するのは、「帰ってきたウルトラマン」で再利用されてからでしょう。
なぜか「ウルトラファイト」でウルトラマンの新撮はありませんでした。
マニアックな事を言えば、後楽園のサークロラマで使ったウルトラマンはゾフィ改造で、それを「帰ってきた」の元型にしています。
ぼくはサークロラマへ行きました。でも印象としてはブースカ一人勝ちのようなものでした。
その頃、学年誌がプッシュしていたのはウルトラセブンでした。オリジナルの絵物語がありました。
円谷と小学館の狙いとしてセブンの路線があったのでしょうが、ブルマァクが参入してくると、マルザンがセブンに苦戦した経験があったためか、セブンでなく初代マンのリメイクが推し進められた気がします。
実際、ブルマァクなくしては71年の第2次怪獣ブームはあそこまで行かなかったかもしれないです。
それはさておき。
「帰ってきた」で使って以降、Cタイプがウルトラマンの顔の定番となるわけですが、ぼくにしたら、Bタイプの方がずっとウルトラマンらしかったので、それほど新マンに惹かれませんでした。
仮面ライダーにぞっこんになってましたし。
そんなわけで、ぼくの好きなウルトラマンの顔はそのまま時系列にABCでした。
よく怪獣同人の仲間と話すのは、ラテックスの崩れた怖い顔のウルトラマンは「ウルトラQの顔をしている」(笑)。
だからBタイプこそウルトラマンらしい顔だと感じていました。
Cタイプへの想いはだから、常に3番目なんです。

子供時代の怪獣を卒業して中高生あたりで再燃した怪獣マイブームの中で、アトラクションや展示で見たウルトラマン、あるいは学年誌などで見慣れたウルトラマンの顔が、どれもあの顔と違うなぁという引っかかりが芽生え、思い切って円谷プロへ行ってみれば並んでいるのはぜんぶCタイプの顔ばかり。
ラテックスのマスクはさすがに残ってないだろうと踏んでいました。
マニア雑誌が出た頃、具体的な謎解きが自分の中で燃えてきました。
まだ学生だった原口智生さんのお宅へ行って撮影で使った新マンのマスクを見せてもらって、個人でこういうものを持てる!という新たな衝撃が起きます。
原口さんは、親類に東宝関係者が居て、そのマスクは有川貞昌さんからいただいたとの事で、そんなツテがないぼくはともかく、円谷へ見に行くのが関の山。
少し経って安井尚志さんと知り合って、てれびくん編集部の片隅にあったCタイプのマスクを、あげるよ、と簡単に言ってくれて歓喜したのでした。
そのマスクは、河崎実さんを経由して、いま一緒にいろいろやっている造型家の斉藤靖さんの手元にあります。
客演で使った撮影用のウルトラマンでした。でもぼくは、初代で使ったものでないのと、状態の良いものが手に入ったのとで、ヒビがあった事もあって、そう未練がありませんでした。
原口さんがその頃、かつてBタイプは初台の喫茶店で飾ってあったと言う情報を聞かせてくれて初台をうろうろしたのでしがそんな店はありません。安井さんも、わかんねえなと。
TY6.gifT6F.gif
70年代後半は、竹内博さんの怪獣倶楽部、中島伸介さんのPUFF、開田裕治さんの衝撃波Qなどがあったものの、造型的な記事は少なく、強いて言えば小林晋一郎さんが「形態学的怪獣論」をPUFFで展開していて、楽しみにしていました。でも造型現場の話とは違うんです。
ぼくの参考になったのは、安井さんと原口さんの存在でした。
安井さんは、学生時代に円谷プロ、開米プロの現場に関わっていました。
原口さんも同様に「スターウルフ」のミニチュアのメンテナンスなどをしていた。
だから、Bタイプのマスクの所在をどうにか突き止められるような気がしていたのに幻のままです。
ぼくがやっていた同人誌は先輩方の物まねから始まります。誰でもやるように放送リストをテレビを見ながらつける。
ただ、それまで怪獣を演じたキャスト、ウルトラマンのコスチュームの違いなどに言及したリストは皆無でした。
そこで、ウルトラマンのマスクに着目して、A、B、Cと分けました。
78、79年の頃です。
アルファベットを使ったのは、その前に熱帯魚の同人誌をやっていて、例えば、学名に「ナントカf1」とか「カントカsp」と付くのが面白かったので頂きました。fはファミリー、spはスペーシス、種分けのはっきりしない親の直系や種類に対しての略です。
百科事典が好きだったので、ウルトラマンにも種類があって「Aタイプ」「Bタイプ」「Cタイプ」と呼んだら面白いと思ったわけです。
これを「模型情報」や「Bクラブ」で安井さんが広めました。
「モスゴジ」「キンゴジ」もわれわれの同人用語でした。
なので、現場の人にAタイプがどうの、モスゴジがどうのなどと言っても通じません(今は通じる?)。

安井さんが成田亨さんとコンタクトを取った頃、オリジナルウルトラマンを持っている、という話を聞いて、連れて行ってもらいました。
成田さんが持っていたのはCタイプの、撮影終了記念に作られた2つのうちの1つです。もう1つは古谷敏さんが受け取っています。
成田さんに意を決して、もう1つの顔は残ってないのでしょうか。
という話をしても、そんなのはない、という顛末。
最近分かったのは、成田さんは間違いもなく徹頭徹尾たった1つの粘土原型を目にしていたと言う事です。
佐々木明さんは円谷英二に言われ、独断でいじっては型を取って樹脂成形、撮影に使ったのでした。
成田さんが見ていたのは同じ原型で、知らずうちに変容していった。いやその過程も見ていないかも知れません。
むしろ最終的なCタイプがずっと手元にあったので、成田さんには、その印象が強くなった。
Aタイプはこれをラテックスで抜いたものだといわれましたが、しっくり来ません。しかし造型物としてはそう差異はないのでしょう。

f3bbb4.gif
f3bbb4.jpg
<正中>
粘土原型でこだわるのは正中です。
「月刊少年マガジン」の表紙でBタイプはスタジオ特写したアップの顔が掲載されました。この顔が、トサカを中心にセンターがズレていて、写真の歪みのように見えるのです。
いったん気になると、劇中の写真もみんな正中が曲がって見えて来ます。
実際、写真を集めると極端に言えば<く>の字のようにトサカから鼻先の線が曲がっています。
むろん、佐々木さんは意図的にやっていないでしょう。彫刻として左右は非対称であってもなんら問題はありませんが、それでもテレビのキャラクターなので、彫刻家の感性をそちらへ向けて出来る限り整えたでしょう。すごく繊細です。
それでも目の長手の長さが左右違うのは、センターから耳までの距離が左右違うからで、マスク全体が非対称です。
佐々木さんは右利きと思います。したがって向かい合った右手側、左の顔は思うようにやれて、反対の顔は左に合わせていたと思われます。
右利きの人は左向きの横顔が楽なんです。

<目>
成田さんは、ダイヤカットを考え、目の中央の小さなダイヤ一面をくり抜いて透明の板をはめて、古谷さんが覗くつもりでいました。
ところが発表会の日にその作業が間に合ってなくて、目とマスクのキワに近い位置へ穴を開けた。
成田さんに無念の涙を呑ませたこの覗き穴は、ウルトラマンの目のポイントとして、ぼくらは認識してしまった。もう避けられない思い込みの黒目です。
ただ今回は覗き穴を開けない目の依頼でした。写真はアタリをとるため黒いテープを貼って撮りました。
目そのものは、透明アクリル(塩ビ)のヒートプレス。木枠に熱したアクリルを置いて、押し型をグッと押して成形します。
機械担当の倉方茂雄さんの述懐では、裏から一面一面、樹脂を流したそうです。
樹脂は、表面張力でダイヤカットの枠をはみ出ます。それが得も言われぬ不思議な荒々しいカッティングに見えるのです。

<唇>
唇は、再現するのはそう難しくありません。角度を測るために劇中の写真を集めました。
粘土原型とマガジンで使ったウルトラマンをレイヤーを重ねて合わせて差異を探りました。
面白かったのは、劇中の写真で、唇をくり抜いた形跡があるんです。
Aタイプから始まってウルトラセブンの初期まで何度も繰り返す事になる可動する唇をここでもやっていた。
使われなかったという事は失敗だったのでしょう。それでパテを使ったと見ても良いでしょう。
Bタイプはガマクジラの回で登場します。同時進行していたガバドンの時に怪獣込みの写真をたくさん撮っています。講談社が最初に撮ったのもその頃でしょう。
最初のBタイプの唇はパテ埋めがされてなくてシャープです。
中盤以降、パテ埋めがされます。月刊マガジンの表紙用に最後にまたパテ埋めして口の穴を埋めていました。
そういう作業は現場のメンテナンス班です。TYF.gif
唇も目のくぼみも、撮影の合間に修理するのは今も昔も同じです。
テレスドンの時にトサカに反射する目の上部の小さな穴は、古谷さんに言わせると、外の空気を入れるための穴だとか。呼吸が苦しいからだとか。Bタイプだけの細工でした。

T2RF.gifccsF.gif
TF.gif






















なお、映像、キャラクターの著作は製作会社にあります。