初代ゴジラを作る


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怪獣人形・初代ゴジラを作る

55yuyu.gif84年の復活「ゴジラ」の1,2年前から、ぼくは山本直樹さんに誘われて小学館でゴジラの絵本と入門百科を始めていた。
山本さんもぼくもマニアだから、好きが高じてジオラマまでやってしまった。ガレージキットが出始めの頃で、ぼくは模型的なゴジラより、ラテックスを使った動くゴジラに固執した。
その方が、映画の小道具のようでカッコイイと思ったのだ。
ゴジラの復活熱は、映画の公開とともに汐が引く様に去っていった。
そのため、絵本は残り2冊が中止になった。
ぼくはその後しばらくブラブラしつつ、秋に建築模型の会社へ入った。
85年だから、24才の頃。
仕事が終わると、家の近所にアパートを借りて作業にして、怪獣を作った。やはり初代ゴジラは作ってみたかった。
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50センチ、100分の1スケール。
どこに発表するわけでもない。なんの宛てもなくともかく作った。
ぼくの怪獣は、その頃、付き合いのあったソフビコレクターの倉治隆さんやなべやかんくんがとても気に入ってくれていて、そのうち、ビリケン商会で売ってもらったら?という話が出て、訪ねてみた。
ビリケンの三原宏元さんはヒゲを撫でながら、う〜んと唸って、置いてみるか?とぶっきらぼうに言ってくれた。
初代ゴジラは、延べ8体、売れた。ビリケンで7体、M1号の西村祐次さんのところでも売れた。その中で出戻りが1体あった。

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数は正確ではない。やかんくんも欲しがったので、なにかとトレードという約束にした。彼の宝物として、たまに紹介されるので、本当に喜んでくれたのだろう。
三原さんの話だと、サラリーマンが会社の帰りにウインドウ越しにジッと見入って値段を聞き、何回か見に来て、決心して買っていくそうだ。
85,000円。高いと思う。
でも有り難い事に、こういう物は前代未聞だから買ってくれた方は高いと文句を言わなかったそうだ。
何年か前に、ヤフオクで35万で売られたのを見て、驚いた。よく綺麗に残していて下さった。当時買えなかった人が落札したようだ。
どちらにも感謝。
24才のぼくのすべてが入っている。2年くらいやった。その後、石膏型を破棄した。
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さて、せっかくなので、製作の手順を追ってみる。
まず原型。板に木の杭を3本、くり抜いてはめ込む。これが足と尻尾の芯になる。粘土はけっこうな重さになるので、芯がしっかりしていないと後で泣くことになる。
木の芯は、体のあたりでさらに木材をかませてなるたけ粘土の盛りつけを少なくする。木材は粘土の食い付きを良くするために針金を巻いている。腕の部分は、自由になるように針金のみ。
つまり、人間のラインを再現したものへ粘土を盛りつける。ぼくは縫いぐるみのミニチュアをテーマにした。だから、生物的にどうのとか、オレ怪獣という狙いはない。覗き穴を付けた。
粘土原型が上がったら、前後の分割ラインに真鍮の板(切り金)を差し込んで、石膏をかける。
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石膏は指で弾いてモールドに空気が溜まらないように細心の注意をはらう。石膏が飛び散るので、壁に新聞紙を貼る。
表面に石膏が行き渡ったら、後はペインティングナイフでケーキ作りの職人のように石膏を丁寧に上塗りしていく。
50センチの人形で1、2センチほどの厚さ。弱い所や表面積のあるところは、麻(スタッフ)を混ぜたり、木材をはわせたりして補強する。
石膏が固まったら、カッターで分割線を削り、切り金の頭を出す。



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尾は別パーツで、その断面は石膏をかけない。型まった石膏型を前後に外す時に、粘土原型へそういう隙間から(あるいは逆さにして足の裏から)杭を差し込むと中からの圧力で、スッと分割ラインに隙間が生まれる。
あとは丁寧に外していく。
大きな石膏型となると、木材で補強し、その木材を取っ手にして前後分割を外すと楽である。
石膏は、粘土に面したところを十分に乾燥させる。
粘土は油粘土が多かった。これより大きいものだと水粘土の方が良い。
50センチ以下なら、油粘土の方が細かい細工に適していると思う。


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石膏型へ、色を混ぜたラテックスを塗っていく。
この時、麻を割り箸に巻いてラテックス専用の刷毛を作っておく。ラテ刷毛というやつ。
ラテックスは2、3回塗ったら、型くずれを防ぐためガーゼをはさみ、また2回ほど塗る。硬くしたい所はオガクズや苆(すさ)をラテックスに混ぜて指で塗っていく。苆は、土壁に混ぜる麻をほぐした素材。もう売っていないと思う。
その頃は、左官屋さんがまだあった。
ラテックスは赤外線ライトで乾燥を早めていた。バリを作っておいて、バリを持って、石膏型から剥がす。これで、怪獣の皮膚が出来る。
ぼくがやった人形はぜんぶ動く。
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アルミ線を3本に束ねてラテックスを塗った帯状の布を巻いて補強する。ラテックスが乾くと布は縮んで強度が出る。アルミ線を3本にしたのは、1本が折れても平気なように、という配慮もあったが、3本にして巻くと、断面が丸くなり(三角になる)、力の集散をうまくこなした。
よく動かせた。指1本ずつ、ぜんぶ可動した。もちろん口も。
アルミ線に布を巻いたものを骨とするなら、ウレタンが筋肉になる。
ウレタンも帯状にして、Gボンドで巻いていく。これも強弱を調整する。
最後に、ラテックスの表皮を巻いていく。
合わせ目はゴムのりでまず接着してからラテックスを刷り込んだ。
それから塗装。
股間や腕の下など、影にしたい部分を黒く先に筆塗りしてからピースコンで全体の色を吹いた。あまり色は付けていない。ラテックスへ混ぜた地の色を活かしたいから。グレーに青みを加えた。でも茶や緑にも惹かれて、微妙に、その時の気分で、いろいろやってみた。
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目はアクリルのヒートプレスに裏側から透明樹脂を流したもの。電飾を施してある。
背びれは、本当は樹脂でやりたかったけど、面倒なので、プラキャストにした。中にアルミ線を通してあり、背中の角度によって背びれも自由に動かせた。
いま挙げた人形製作のノウハウは、ぜんぶ高山良策さんに教わった方法。
材料もいただいたし、石膏がけも目の前でやってもらった。針金の芯の作り方も実演してもらった。

いま、やれ!と言われても、もう面倒でやれないと思う。意欲だけがあった時代の産物だと思う。


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