魔獣大陸


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雑感


(再録)

魔獣大陸 08-11-23

323222.gif深夜見たDVDは「魔獣大陸」というイギリスのハマープロがつくった怪奇SF調のB級映画。
予算をふんだんにとって大作として完成させて世界配給したが結果はさんざんだった。67年の制作で、翌年日本へも入った。
当時、ぼくは小学2年生で、もう怪獣は卒業していたが、お風呂屋に貼ってあったポスターに惹かれた。
ウチの方は下町だったので、夕方、近所の友達とお風呂で合流した。みんなで飲んだ風呂上がりの冷たいイチゴ牛乳の美味しかったこと。
ぼくは白い牛乳は苦手で飲めなかった。コーヒー牛乳が飲めたのは3,4年になってからで、それまではもっぱらフルーツ牛乳だった。たぶん1,2年の頃にイチゴ牛乳が出たのだと思う。新製品で喜んだ。
でも牛乳と謳っていても白いちゃんとした牛乳に比べたら牛乳成分の多少入ったイチゴ味飲料なのだろう。
そういういかがわしい味が好きだった。
いかがわしい味と言えば、駄菓子屋で味わうチクロ味の駄菓子は最高だった。同世代でも下町育ちでないとチクロ味は知らないらしい。ぼくが好きだったのは、お麩と黒棒だった。
ともに黒砂糖で、お麩は直方体の棒状の麩菓子の表面に液体の黒砂糖を塗って乾燥させたものだが、黒砂糖なのに、赤い着色がされていた。
しかも黒砂糖ではなく、チクロを使っていて、癖になる甘さだった。いまの製品は、サラッとしていて、ふつうに甘くて美味しいけど、当時のあの味の懐かしさにはかなわない。
黒棒というのは、たしか九州の方の郷土菓子と思った。小麦粉を黒砂糖にまぶして焼いたものだと思う。
それがくじ引きで、大当たりが菱形に切ったもので、外れるとその3分の1くらいになる。
ついでに挙げると、あと好きだったもに、甘納豆のくじがあって、風のフジ丸の絵を使った袋に入っていた。甘納豆もどこかの郷土菓子だと思う。
ラムネも好きだった。コーラの瓶の形のモナカの中に粉のラムネが入っていてストローを刺して吸い込むものと、やはりくじで、大小の船の形をしたモナカの上にセロハンが貼ってあって、中に小さなラムネ菓子が並んでいたものなどがお気に入りだった。
ここまではまだ現在でも質を変えて売っている。
さらに加えると、親に怒られたもので、試験管のようなプラスチック状の筒に入った液体ぽいジャムで、竹ひごを使って舐める。これもくじで、当たると長さが長くて、外れると短い。
赤とか黄色などそそる色をしていた。酸味と甘みだけのお菓子で、たぶん、体に悪いのだろう。舌は真っ赤になった。服に付くと落ちないのと、誰が見ても健康被害を起こしそうな色なので、親は嫌った。これはもうお目にかかれない。
そんなものを、お風呂の帰りに食べたり飲んだ。お風呂は子供の社交場だったのだ。
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話を戻すと、「魔獣大陸」は、怪獣映画を片っ端から親や祖父に連れて行ってもらえた当時のぼくの環境なら観ていておかしくない映画だったが、未見だった。ポスターは怪獣が全面にあって、エッチなお姉さんも写っているので、親が嫌ったのだろうか。
イギリスの映画はあの「サンダーバード」でさえ男が機械にはさまれて足首が血まみれになるシーンがあった。また同じハマーの「恐竜100万年」に至っては翼竜に捕まった半裸の女性の腹に爪が食い込んで血しぶきを上げていた。一緒に行った母親もきっとびっくりしたはずだ。
ハマーはそもそも怪奇もの専門の映画会社で、ピーター・カッシングやクリスト・ファー・リーらのドラキュラもの、フランケンシュタインもの、狼男、蛇女、ミイラ男など、ハリウッドでその昔つくられた怪奇スターを復活させた路線が大当たりしていた。怪奇と、美女と様式の世界だった。
したがって、「魔獣大陸」も独特な猟奇的な雰囲気に満ちて、アンニュイな空気が漂う中に現れるのが怪獣と言っても紙一重で笑ってしまいそうな得体の知れない怪物なのだ。
一度80年代にテレビでやった。それは編集され、冒頭にいきなり怪獣の名場面があった。ビデオデッキを買ったくらいの頃だったが、あんまりひどくて消してしまった。
延々と中だるみする道中記があって、魔の海サルガッソにはまる密輸をかねた小型客船が吸血藻や怪しい怪物に遭遇していく内容で、肝心要の怪物は最後の方に出てきてアッと言う間に終わる。
当時、公開された劇場では失笑が起きたと言う、曰く付きの映画だった。
しかしテレビで見た時は題名も変えて「大怪獣タコヘドラの来襲」などと人を食ったものになっていて、ぼくは長く、ぼくにとって幻の「魔獣大陸」とそれが重ならなかった。
今回、色も綺麗になったDVDを見て、やっぱりひどい映画で(笑)。当時の期待はどこへやら。
もしかすると、まだぼくは見たかったあの「魔獣大陸」を見ていないのかもしれない。