花山大吉


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雑感


(再録)

花山大吉 09-04-08

img_hanayama.jpg時代劇専門チャンネルで「素浪人 花山大吉」を楽しみに見ている。中身はまったく何もない。ただただ大吉と焼津の半次の人間味だけで見せる内容だ。人情とユーモア。底抜けの明るさ。
毎回、大変な事件に2人が巻き込まれて解決して去って行く、その繰り返しで、本当に、見事なくらい中身のないドラマだ。だけど、面白い。
とにかく2人とも個性の固まりだ。おかしくてならない。
69年の作品。
実はこの前に「素浪人 月影兵庫」というヒット番組があった。同じコンビの作品で、兵庫を近衛十四郎が演じ、焼津の半次を品川隆二が演じている。
ところが65年から68年まで(途中、9ヶ月休み)の長寿番組になったが、兵庫の性格がどんどん三枚目になっていくのを原作者が嫌い、いったん終了して新シリーズとなった。
近衛は役名を兵庫から大吉へ変えて、性格設定も少し変えて、同じコンビで「花山大吉」が始まる。
焼津の半次は「花山大吉」に続投した形になる。
大吉を演じた時代劇の名優・近衛十四郎は、あの松方弘樹、目黒祐樹の実父である。2人とも近衛にそっくりで、松方はリメイク版の「花山大吉」を95年にやっている。その時の半次は田原俊彦だった。
また近くは07年に「月影兵庫」がリメイクして、松方がふたたび父の役を演った。
大吉は正義感が強くて行く先々で事件を解決していく。
相談屋を稼業にしていて頭脳明晰、剣の腕も超一流。だが、酒の肴の「おから」に強いこだわりをもち、居酒屋へ入るやおからの有る無しを聞いて、ないととたんに不機嫌になり、あれば泥酔するまでおからと酒に浸る。
それに毎回つきあわされるのが、曲がった事の大嫌いな半次で、おっちょこちょいで人が良いせいで、大吉にいつも「ばかたれ」呼ばわりされてしまう。
要するに2人は大の仲良し。調和のとれたボケと突っ込みで、見ていて楽しくて仕方がなくなる。
ここぞとの場面で、大吉はしゃっくりが出る。それを止めるにはひょうたんに入れた酒を飲まないといけないのだが、たまに酒が切れている。「月影兵庫」では苦手は猫だった。
そして半次は蜘蛛が大の苦手。やはりここぞと言う時に蜘蛛が下がって来て、奇声を上げて逃げ出す始末。

すっかり年を重ねた品川隆二が番組のインタビューで答えていた。
「楽屋で、いつも離れて座っているものだから、ゲストで入って来た役者は、実は2人は仲が悪いと思ったらしい。とんでもない。台本を覚えるので精一杯だったんです。
あの台本は、ト書き(台詞以外の状況設定)がなくて、ほとんど台詞で埋まっている。2人とも、それを覚えるので精一杯でした。
小鼻が膨らんでしまうのは、台詞を言い切らないといけなくて、息が出来なくなるからで、意図的にああいう表情をしたわけじゃないんです」。

「花山大吉」で近衛55歳、品川38歳。ぼくは2人が、本当に良い年齢の時に出世作を演れて、テレビ映画と呼ばれていた時代の時代劇に名作を残した事を羨ましく思う。
この番組のせいで、ぼくは最近、おからを食べているのだ。
001826_2.jpg376_3.jpg画像、左が近衛、品川の「花山大吉」で、右が松方、田原の「花山大吉」。
ちなみに、近衛の刀は通常のものより少し長い。戦前からのチャンバラ役者の経験で、迫力のある殺陣を見せるための演出だそうで、その長い刀を誰よりも速く振り回す。
目黒と競演した「いただき勘兵衛 旅を行く」を最後に、糖尿病の悪化で引退した。