銭形平次2


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雑感


(再録)

銭形平次 09-04-02

ゴールデンウイークいっぱい仕事をしなかったから大車輪で作業を進めている。そこで土曜のオフをどうしようか考えたが、やはり休みは休みにした。
というわけで、今日は目一杯頑張った。やれるところまでやったので、もう仕事を忘れてやる。
朝から「銭形平次」4本立て。
若き日の風間杜夫がゲストに出ていた。スリの役。でもまさか、何年かして自分が平次を演じるとは思わなかっただろう。人間の未来なんて分からない。
ところで風間版の「銭形平次」もなんとなく見ているが、脚本が悪いのか、身内に犯人がいすぎ。しかも役人が悪と通じている話が多い。風間平次は、悪の上司を殴りつけ、その十手を土間へ投げ捨てた。
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大川橋蔵だったら絶対にそんな真似はしない。いや、東映がさせない。橋蔵は東映の「若さま」だった。
絶対に清廉潔白、喜怒哀楽の人間味はあっても仏のように柔和で、相手を殴るなんて事はない。まして上司だった人間へいかに悪に染まっていても、怒りをぶつける時はお上から預かった十手を使うはず。
十手は岡っ引きの心だ。心で殴る。素手で殴るのは感情でしかない。十手を使ってこそ、岡っ引きの心意気がある。まして悪が使った十手とはいえ土間へ投げるなんて、橋蔵平次にはあってはならない。
粋やいなせが江戸っ子の身上。
岡っ引きは町人だから、刀をもたない代わりに十手をお上に預かる。お上というのはいわば役所の役人で、奉行の事を言う。
「必殺仕事人」の中村主水(藤田まこと)は下っ端の同心で、役人の窓際族を演じて人気が出た。主水(もんど)が八丁堀とあだ名で呼ばれるのは、同心や与力ら奉行所の役人の居住区が今で言う中央区の八丁堀に屋敷を構えるから。
そういった役人と、平次は一線を画する。

神田明神下は庶民が長屋で暮らす。
岡っ引き、その下の子分に当たる下っ引きは、役人ではない。調べてみると町内会の自警団みたいなものらしい。実際、平次は質素な生活をしていた。
威張るでもなし、権威を傘にきせるでもなく、ただただ、自分が信じた正しい道を歩む。まるで馬鹿みたいに、しかし綺麗な存在だ。
平次は、そんなだけど、平次のライバル(というか平次をライバル視している先輩格)の箕輪の万七(遠藤太津朗)は、俗っぽく、女好きで、親父ギャグを言い、袖の下だってもらっちゃう。絶対に、こっちの方が魅力的なのに。
橋蔵平次の無欲さの魅力はそれを凌駕する。
やっぱりそんじょそこらの役者ではないと思う。

風間杜夫も、北大路欣也も、村上弘明も、「銭形平次」を演じた。
古くはアラカンこと嵐寛寿郎が、市川猿之助が、長谷川一夫が。しかし大川橋蔵ほど銭形平次を美しく演じた俳優はいない。
無骨じゃ問題外、情がありすぎてもダメ。優しいが、厳しい。そして、眉目秀麗。
残念ながら、風間杜夫の平次は貧相でならない。
どんなに二枚目のゲストが出ても橋蔵ほど美しくない。「銭形平次」は、橋蔵を美しく見せるための番組だったのだ。

ところでぼくは橋蔵ばかりを楽しみにしているのではない。平次を信じて家を守る恋女房のお静がいい。三代目の香山美子がお気に入り!なのだ。さっぱりしていて、言葉を投げかけようとするとちゃんと受けようとしてくれる。
それと、平次の下っ引きの八五郎は、子供を持たない平次とお静の子供のように無邪気で、最終回、この3人が伊勢のお宮参りに出かける姿は微笑ましかった。今朝は、八五郎のちょっと失恋話もあった。不器用で、愛らしい。
そういった周りのしっかりした人物設計が平次を押し上げる。
だから45分のドラマのどこも無駄がない。

土曜の朝は、仕事を終えてこのドラマの4時間枠をノンビリと楽しむ。