マルサン考察


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怪獣玩具


マルサンの怪獣を考える

FFGHUU.jpg伝説的な物言いで、第1期発売分はウルトラQの4体でそれぞれ600個だった! と言われる。
「ウルトラQ」は65年の初夏から講談社「ぼくら」で絵物語が始まった。その欄外に、今度テレビで始まる「ウルトラQ」!という情報が、毎回あった。
ぼくは絵物語じたいはほとんど覚えていないが、セミ人間が巨大化する南村喬之の口絵は覚えている。
それがテレビで始まるという浮き足だった気持ちでもなかった。なんせ幼稚園だ。いつ始まるか分からない番組をうきうきするのは、そうだな、1週間前くらいが現実の話だろう。
「ウルトラQ」は放映日が二転三転して、どんどん延びている。
65年の夏に「フランケンシュタイン対地底怪獣」を映画館で観て、怖くてぜんぜん観ていられなかった。
年末は怖くはない「怪獣大戦争」。それと「大怪獣ガメラ」。
「ウルトラQ」の特報は、年末に見た記憶がある。
それというのも、年末商戦ですでにフォノシートの類が売っていたからだ。子どもの関心はテレビでやる怪獣!に集中した。
当時は、放送前にフォノシートが出るのは珍しい事じゃない。
「丸出ダメ夫」も「おそ松くん」も放映前に連載マンガをイメージした歌とキャスティングでソノシートが発売されている。
あ、ここ。ソノシートは朝日ソノラマの商標ですので。他のメーカーはフォノシート。
「ガラモンの逆襲」「ペギラが来た」「2020年の挑戦」「海底原人ラゴン」「宇宙指令M774」、それに混載も、65年末の店頭に並んでいた。
それらを先に聴いてから「ウルトラQ」は年明け66年の1月2日に始まった。フォノシートは擦り切れるほど、聴いた。テレビは週一だから、その間の飢えをしのぐために。
そこでマルサンの怪獣に話が戻る。
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マルサンが出した「ウルトラQ」の怪獣は、ガラモン、ゴメス、ゴロー、ペギラ、ナメゴン、カネゴン、パゴスになる。
このうち、ガラモン、ゴメス、ゴロー、ペギラが初期分として、いわゆるゴジラブルーで抜かれて、くるみ塗装が施されて市場に流れた。その数、各600個。
1期分はそのためとんでもないプレミアムになる。ゴローが300万とか、わけが分からない。
尻尾の動くガラモンを、ぼくらが知ったのは、80年頃になる。あるコレクターが都内で手に入れた。
でもぼくは自分が当時もっていた色と違うので、欲しいとは思わない。
思わないながら、茶色が剥げてゴジラブルーを覗かせるゴローやペギラは、良いな!と思った。
あれはどういうのだろう、偶然が引き起こす美の奇跡のようなもので、たしかに美しいのだ。
尻尾が動いたのは、ガラモンとゴメスになる。ガラモンの尻尾は細いので動かすとすぐ抜けたりしたのだろう。2期分から体に付けられた。
ゴメスは逆に、最初、尾がなかった。当時の広告に尾のないゴメスが確認されている。

LinkIcon怪獣玩具人生
おそらく円谷からクレームが来て、尾を付けたのだろう。
ゴローとペギラはそのままだが、2期分以降は、増し型を使うので、一回り小さいのだと思う。
ソフビは、それ自体を利用してメッキをかけて金型を簡単に作れる。ブルマァクになると、どんどん増し型が作られたようだ。しかし原型ばかりか初期商品のレプリカなのでだんだんモールドがあまくなる。
それを逆算すると初期分はシャープなんだろうな。
ところで、初期の数600と言うのは、当時の営業の鐏三郎さんのお話だ。
おそらくこういう事だろう。
鐏さんの話だと、なにしろ流通問屋が怪獣は売れやしないとタカをくくっていたので試しの数なんだと思う。
その600と言うのは、東京主要、山の手線のターミナルの数、仮に100個ずつデパートへ卸したのなら、新宿、渋谷、銀座、東京、池袋、浅草・・・これでその頭数はさばける。
そもそもテスト販売を地元でやったりするそうだ。
マルサンはかつてレーシングセットをデパートへ持ち込んで売れて、ブームを起こした。だからデパート側も快かったに違いない。
そうして、怪獣は売れた。
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ゴジラブルーとは言うけれど、正確には、ウルトラQブルーだ。ゴジラは発売が後になる。
この色を通したのはナメゴンだから、ナメゴンブルーと言っても良い。
ちなみに、鐏さんによればゴジラのソフビは、プラモとは別に新規造型だと言うが、同じ箇所に同じ傷があるので、プラモの流用に間違いない。
ぼくはウルトラQ怪獣を手に入れてご満悦になった。
増田屋の手踊りも出ていたが、比べものにならない。手踊りも指人形も本当によく出来ていて、好き具合ではかなり高いのだけど。
マルサンの圧倒的な勝利になる。
やはり瀬戸物職人の手になる柔らかい土の表現がとても心地好いのだ。
名古屋の原型師の仕事はそれまでキューピーや動物だったそうだが、可愛らしさが具わった、本来グロテスクとされた怪獣は、その人のおかげでカッコイイ存在になった。
この原型師、おそらくブルマァクでは、アーストロンやダイゴロウや、アイアンやマグマ大使やメカニコングやメガロを作った人と同じ。派手ではないが誠実で、しっかりカタチを捉えている。
ともかく、丁寧だ。
とても、他のメーカーの原型師じゃ伝説を産まなかったと思う。
ぼくの中では、利光貞三、高山良策と並ぶ3人目の怪獣作家だと思う。


LinkIconマルサンの思い出