梶田達二


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怪獣絵師

i01101.jpg怪獣の絵は66年の怪獣ブーム以前から少年誌へ登場していた。もともと「地球防衛軍」(57年)などで、挿絵画家として第一人者だった小松崎茂を起用して、
映画のデザインやスケッチ(ピクトリアルスケッチ)を描かせているので、当然、小松崎が誌面で映画の絵を描く事は珍しくなかった。そもそも初代「ゴジラ」(54年)の時に、いくつものマンガも出ているから、書籍における怪獣の歴史は怪獣映画とともにある。
ぼくは61年生まれなので、生まれた時にすでに怪獣の絵を見ている。その頃は「少年マガジン」が怪獣特集をたまにやっていた。
そして66年の怪獣ブーム以降、「少年マガジン」に加えて「ぼくら」、他社では、「少年ブック」「少年サンデー」「少年キング」が怪獣の挿絵や特集を載せた。
すでに、南村喬之、梶田達二らは怪獣の絵を描いていた。怪獣は専門ではないが、ぼくは尊敬をこめて、怪獣絵師と呼びたい。
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梶田達二

l576.jpgYYR.jpgここに挙げたのは梶田達二によるショウワノートの様々なサイズのスケッチブックとノート。
面白い事に、なぜかショウワノートの絵は、マルサン商店のウルトラマン(大)サイズの台紙に使われたり、レコードのジャケットにも登場している。当時は画家へ画稿を返す事はほとんどなかった。朝日ソノラマには、歴代絵師のソノシートの絵が保管されていたほど。
だから、メーカー同士の裏技で貸し借りをしたのではないかと思うのだが。どうだろうか。
「ウルトラQ」では、あとカネゴンのスケッチブックがあるらしい。
ただし、ノートに至って「ウルトラQ」怪獣の単体の絵柄はなくて、新番組「ウルトラマン」を宣伝するためか、ウルトラマンの絵が加わっている。これを、後から無理やり描き込んだ説もあるようだが?
スケッチブックの方が先に発売されていたのだろうか。
梶田さんへは練馬の自宅へ伺って「ウルトラ時代」(ソフトガレージ)で取材させていただいた。
兵器を怪獣へ添えるのは、やはり怪獣そのものに照れがあるようで、自分の得意分野である兵器を入れたくなるからだそうだ。時に兵器の方が怪獣より目立つのだが、不思議と、子どもだったぼくはそれが真に迫って楽しめた。ジオラマ感覚に見えたからだ。
梶田さん自身は怪獣へとくに思い入れはなさそうで、反対に戦闘機はかなり好きらしい。現在は日本丸のさまざまな角度の絵を描いている。
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(再録)

梶田達二に聞く(99年8月「ウルトラ時代」掲載)

----ぼくも挿し絵に憧れていましたから。小松崎(茂)先生に刺激された。小松崎先生の絵に出会わなかったら、この世界に飛びこまなかった。あの絵に少年時代に出会ったことがきっかけですよ。先生も認めてるんだよね、僕の絵が一番自分の絵に似てるって(笑)。先生には弟子がたくさんいるけど、弟子でもないのに僕が一番似てたんだ。それくらい憧れの人だったんだね。
----いまでも時々作るけど、飛行機が好きでね、子どもの頃から木を削ってはソリッドモデルを作っていた。戦記ものはじめ近代までの飛行機が大好きでね。手先が器用で、時間さえあれば削っていた。実家は、卓上ピアノを作る仕事をしてたんです。製材するとき木っ端が出る。模型を作るための材料はいくらでもあったんだね。で、そのうち嵩じて絵を描くようになった。飛行機ばっかり描いていたんですよ

----本の表紙はだいたい1日で描き上げたてたよね。週刊誌などで挿し絵の連載をかかえていた時は、1冊につき絵が4点くらいあって、それを1日でやった。そうじゃないと間に合わなかった。

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----描くときはまず下絵を描くんです。下図が出来たらね、丸ぺンであたっちゃうの。それで、1回消しゴムを全部かけちゃう。それを絵の具でおさえていく訳ね。ぼくの原稿は鉛筆の線があまり残ってないでしょ。中には、ばっちり残っている人もいたけどね(笑)。
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----2色印刷の場合はね。色はあの通り、最初から赤と黒のああいう色の感じで描くんですよ。まあ、カラーでも2色でも、原則的には同じことで、どっちが難しいというのはないけどね。ただ、色が増えれば、色の分だけ時間はかかるよね。
----怪獣を描いてた頃は水彩だったね。それからデザイナーズカラーと、ガッシュと、まだリキテックスが出始めの頃だったから、最初の頃は欲しい色が手に入らなかったからね。色によって、自分の好きな絵の具があるわけです。この色は水彩、この色はガッシュって。一つの絵の中でいろんな絵の具をごちゃまぜにして描いていたんですよ。
----怪獣に違和感はなかった。映画でもSFものは必ず観ていましたよ。『月世界征服』とか『禁断の惑星』だとか。それに恐竜も好きだったからね。怪獣はね、出版社から資料を貰って描いてました。怪獣ものは資料がなきゃ描けないからね。戦記ものだと自分で資料いっぱい持ってますけど(笑)。怪獣の絵でも、よく飛行機が飛んでいて、飛行機の方が力が入ってる場合もあったな(笑)。怪獣は現実にいるものと違って、荒唐無稽でしょう? それは面白いんだけど、そうしたものを続けて描いてると、どうしてもストレスがたまってね、発散しようと自分の好きな飛行機を描いたりした。背景の建物とかも結構描き込んだりしてたね。
7793.jpg366333.jpg----怪獣を描くからといって、特別のことはしなかったね。ただ、動物を描くときはやっぱり目だよね、一番力入れるのは。目で生きるか死ぬかが決まっちゃうからね。目が生きてると全体が生きてくるの、動物って。目一つで決まります。怪獣は顔に迫力を出さなくちゃいけなかったからね。
9366333.jpg366363 2.jpg----怪獣ブームのときに、エアブラシが流行りましてね、僕はあんまり好きじゃなかった。絵っていうのは、直接自分の手で触れて描くもんだからね。エアブラシを使って紙から離して描くと、どうしたって自分の筆の感覚と違うわけだよね。それと、個性が出ないんですよ。昔の絵描きさんていうのは、見ただけで、タッチ一つで誰の絵かって、パッと分かったよね。だけど、エアブラシを使うようになってから、どれが誰だか分からなくなっちゃった。最近のCGは、余計にそういうところがあるよね。絵っていうより、何て言ったらいいかなぁ……冷たいものになっちゃたねえ、命がないよねぇ。昔の絵は、見てれば見てるだけ飽きない、深さがあったなぁ。

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