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ソフビ原型(09年~10年)


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トイグラフのかじもとしゅうじさんはM1号のミニサイズやUSトイのシャンプーボトル、怪獣レーサー、それに自社トイグラフでガメラや怪獣タワーなど、自ら原型も出来る人である。実は到達点が似ているので、意気投合してトイグラフの原型を始める事になった。
やはり60年代の玩具のアメリカナイズされた部分とマルサンの怪獣を融合させたような、かといって懐古に過ぎず、現代のトイとしても通用するオシャレな部分もここの特色にある。
ぼくが任された東宝怪獣のマルサン補填分と、円盤生物(合成獣)シリーズは、海外からも注目されていると聞くとちょっと嬉しい。



●マタンゴ(エノキ)

DSC00182.JPGD00185.jpgいわゆるマタンゴはM1号が出しているので、まずは映画の後半にちらっと出て来るエノキタイプを頼まれた。小松崎茂の色の付いたデザイン画が現存するので、そのイメージを強くして、M1号のと並べる事もかなうよう、バランスをとった。不気味ながらも可愛い感じを出すために体形はマルサン特有のキューピー体形を活かす。
瀬戸物用の粘土で丁寧に作った感じを再現したつもりです。
目の向きは、やや内側へ角度が付いていて、手で持った人の目線に来ます。


●ムウ帝国人潜水服

DSC00019.JPGDSC00128.JPGマルサンの人間型キャラクターは、ウルトラマンや科特隊員を別とすると、怪獣や星人は、みんなどっぷりしたスタイルです。おそらく線が細いと商品として弱い気がしたのでしょう。
ムウ帝国人は、そのまま人間なんですが、細すぎてはリアルになってしまうので、玩具として、やや質感をもたせてあります。
完成品は、写真の原型より、もう少し鱗の段差を均しています。
「海底軍艦」登場。



●ナタール人

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「地球防衛軍」の続編で、白石江津子が続いて登場する「宇宙大戦争」登場のナタール人。映画もキャラクターも正編に比べると地味なんですよ。とても。しかしソフビにしてみると、思った以上に存在感がある。やはり古くさい感じが良くて、ヘルメットはなるたけ劇中の形を追いました。
原型では両手を広げていますが、商品ではもっとせばめています。だいたいOKをもらうためにこのような写真を送ります。リテイクがあると直します。





●サンドイッチマンロボット

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「妖星ゴラス」で宇宙パイロットが年末の小遣い稼ぎでバイトするロボットの格好をするサンドイッチマン。したがって、本物のロボットではない。でもそこは割り切って、いかにもギーギー言いそうなロボットとしてまとめてあります。ちゃんと赤ちゃん座りが出来ます。




●円盤生物・合成獣

ソフビ業界は、パチ怪獣ブームの流れの延長にデザイナーズブランドを見出し始めた。とくに海外のサイトを見ると日本発のソフビをたたき台に表現の限りを競っていて面白い。
toybot studios
DSC008.jpgDSC0372.jpgそれはそれとして、玩具は玩具であると言う鉄則もある。同じソフビのフィギュアがもし美術館に並べば遊ぶものではない。しかし玩具は手にとって遊び、誰にでも買えるものでないと意味がない。
そういう意味で、あまり高い目線に持っていっても本末転倒である。
かじもとさんに受けた円盤生物・合成獣の企画は、トイグラフのトルーパーたちと相対する同じ世界観のクリーチャーで始まった。
そのストーリーの中で、かじもとさんの示すスケッチを煮詰め、やりとりをしながら原型へ入る。したがって、合作のような感じだが、ぼくはあくまでもトイグラフの商品として黒子に徹している。
買ってもらった人がコレいいね!と言ってくれれば嬉しいし、手に取った人形から、これはアレだね?と謎解きをしてくれるのも有り難い。
ぼくの60年代の嗜好の中に、スペースマンがあった。昔、デパートには、アメリカ玩具の輸入品が並ぶコーナーがあって、祖父がよくスペースマンやキャプテンアクションを買って来てくれた。
トルーパーを見て最初にスペースマンを思い出した。アメリカのお客さんもそうじゃないかと思う。
あれはアポロ計画の流れに生まれた商品だった。その部分でレトロである。ぼくは潜在的なイメージを表へ出しながらそれでも現代風なテイストで円盤生物・合成獣をまとめる事にした。
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最初の円盤生物は、勝手な解釈だが、ある生命体に体を奪われた乗組員が恐怖のあまりに自身がもっている潜在的な恐怖を具現化したデザインである。したがって、意匠は、映画やテレビで見たことのあるクリーチャーのアレンジだ。イドの怪物、シンドバッドのサイクロプス、アウターリミッツの宇宙人、鉱物生命体、メタルーナ、エイリアンなどなど。
もちろん商標があるから勝手に使えない。そこでイメージの根源に、という表現にした。そこがパチ怪獣の精神性にも通じる。
カオス(混沌)の宇宙人だが、人間の名残で、かじもとさんのアイディアで臓物がはみ出ているようにした。ちょっとグロテスクだが、全体としてまとまったと思う。
ちなみに、ドリルは海底軍艦の3重螺旋を再現した。実は腕の武器のアタッチメントのような感覚は変身サイボーグである。
ぼくは取り外し式でも良かった気がするが。
円盤に乗っかった円盤生物は、百窓のビルから飛び出したスペル星人のような悲劇じみた威圧感である。
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ガンヘッドの円盤生物は、最初からかじもとさんのアイディアで、せっかくだから、鶏冠のようなトリガーを付け、リボルバーの脇に目を付けた。
笑っちゃうようなアイディアを真面目に表現する事で、一種のリアリズムが出て来る。
遊びとして、首から下あごにかけてはメカゴジラにした。
チェーンソーは2重にした。凶悪この上ない武器だ。歯車もかじもとさんの意向で、凶悪なのにとてもアナログで、ギャップが可笑しいと思う。断面に膨らみをもたせたのは、何故か人間味のようなもの。たぶん鋭角的に作ると、ただ怖いだけになってしまうから。
火炎放射器は、反対に温和し目。さすがに火は出ないが、こういうのは少し遠慮した表現の方がリアルになる。
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円盤生物が、円盤を抜け出した。合成獣となる。下半身を付けたいというので、ここはやっぱりブリキのロボット風が良いなと思ったが、かじもとさんはターミネーターぽさが良いと言うので、上半身に負けない重厚な質感で、ワイヤーやギアのようなもので動く下半身にした。
このシリーズは左右非対称なので、始め左右対称に作ってから、どんどんバランスを崩していった。
関節に球体や円を与えたのは、いかにも機械だからで、機械に生物を加えて行った。トルーパーの骸骨を並べたのは、このシリーズを集めている人なら誰が見ても驚くだろうと(笑)。
尻尾の付け根はゴジラの顔で作った。でもゴジラはどうやってもゴジラなので、悪魔的な要素を足していく。
脚そのものは恐竜の足でも良いと思った。皮膚を付けてみた。
左手のアイアンクローはもちろんトルーパーを掴むためで、きっと捕まったやつは食べられてしまうのだ。そして腰にドクロが増えて行く。たぶん。
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この円盤生物・合成獣はまだまだ続きます。
いつもキャラクターものの原型なので、伸び伸びとやれて楽しい作業でした。
遊びながら想像して、みなさんも独自の物語を展開して下さい。